補助金の事業計画書は決められたフォーマットが無いものも多く、何をどのように書けばいいのか、途方に暮れてしまう方も多いのではないでしょうか?
また、「頑張って申請書を仕上げたのに、なぜか毎回採択されない。。」そんな方もいらっしゃるかもしれません。
今回は補助金が採択されるために大切な5つのポイントを解説したいと思います。
このポイントを押さえて申請すれば、採択確率は必ず上がります。コンサルタントに依頼する場合でも、以下のポイントが押さえられているか、必ず確認するようにしましょう。
- 自分で事業計画を作りたいが、どのようにしたらいいかわからない方
- 不採択が続いている方
- 外部のコンサルタントに頼んだが、品質が適切か気になる方
審査項目に沿って申請書を作成する
申請書(事業計画書)の作成において、一番大切なポイントが「審査項目に沿って申請書を作成する」です。これに尽きると言っても過言ではありません。
補助金は有識者によって審査が行われ、点数の高い順に採択される、いわば「事業計画書」のコンテストです。その「審査のポイント」に答える形で、事業計画書を作成することが必要です。
審査項目(審査のポイント)は公募要領に記載されていることが多いです。
事業再構築補助金の9次締切分であれば、公募要領のP39~40に「審査項目・加点項目」が記載されています。「ここに書かれている内容について審査を行いますよ」ということが公開されているんです。
(2)事業化点
- ① 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。
- ② 事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。
- ③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。
- ④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。
引用:事業再構築補助金公募要領(第9回)より一部抜粋
自分が採用面接の面接官だと想像してください。こちらの質問に対して答えない人、ピントのずれた答えをする人がいたらどう思いますか?採用するでしょうか?
しませんよね。
補助金も同じです。きちんと聞かれていることに明確に答えましょう。
自分ではできていると思っても、できていないことが多いです。できれば他の方にも見てもらい、審査項目に沿った回答ができているかフィードバックをもらうのもいいでしょう。
論理的にわかりやすい表現で記述する
審査項目を押さえて書いているつもりでも、審査員に伝わらなかったら意味がありません。
文章は「簡潔に」かつ「明瞭に」記載しましょう。
たとえば「④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか」ついて、このように申請書に書かれていたら、どう思いますか?
この事業はコロナの影響を乗り越えるために必須の事業であり、○○という新分野への進出によって、新たな売上を獲得して、新たな柱となる事業へと成長させることで、会社の未来を築き上げることができ、コストはかかるものの、大きな成果を得られる事業であると考えています。
これを読んで、理解できるでしょうか?
内容も抽象的で、質問には何も具体的に答えていませんね。文章も一文が長く、読みづらいです。
では、こう書けばどうでしょうか?
本事業で○○という新事業を実施することで、事業計画期間の3年間合計で○○千円の付加価値額の増額となる見込みです。これは投資額○○千円の○倍となり、費用対効果が非常に高い事業です。
質問に対する答えとしては、こちらの方が明確ですね。
「費用対効果が高いか」と質問されているので、締めの言葉は必ず「費用対効果が高い」としましょう。
当然、結論だけ記載しても納得感がないので、数値根拠も必ず記載しましょう。
写真や図表を使い、読みやすくする
文章だけで記載するのではなく、できるだけ写真や図表を使ってわかりやすくしましょう。
新事業で実施するサービスの内容や製造品がわかる写真や、投資する設備の写真、店舗の内装(案)、構築するシステムのインターフェース(案)などはできる限り載せるようにしましょう。
また、数字などもできるだけ図表やグラフで記載するようにしましょう。売上減少の状況を示す場合なども、数字だけで記載するのではなく、グラフも一緒に載せることで、一目で売上減少の影響が見えるようになります。
また、数字などもできるだけ図表やグラフで記載するようにしましょう。売上減少の状況を示す場合なども、数字だけで記載するのではなく、グラフも一緒に載せることで、一目で売上減少の影響が見えるようになります。
取れる加点は取る
補助金ごとに加点項目が設定されていることがあります。
取れる加点は必ず取るようにしましょう。
例えば事業再構築補助金(第9回)では以下の加点項目が設定されています。
- 大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
- 最低賃金枠申請事業者に対する加点
- 経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点
- パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
- 事業再生を行う者(以下「再生事業者」という。)に対する加点
- 特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点
- サプライチェーン加点
- 足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けている事業者に対する加点
すべてを取ることはできませんが、公募要領をよく読み、取れる加点はできる限り取るようにしましょう。
加点を取るために虚偽の申請をすることは絶対にやめましょう。賃上げするつもりもないのに、賃上げ宣言をするなどしてはなりません。
虚偽の内容を申請し、後で発覚すると加算金付きで補助金返還を求められたり、詐欺罪に問われる可能性もあります。
申請書類の不備を無くす
申請に必要な書類が揃っているか、内容に間違いはないか、必ず確認しましょう。
どんなにいい計画書を作っていても、申請書類の不備不足があった場合、その時点で不採択になってしまう可能性があります。
公募要領に必要な書類が記載されているので、必ず申請前にチェックしましょう。
【事業再構築補助金】
・認定支援機関確認書
・金融機関の確認書(補助金額3千万円超の場合)
・売上高減少が確認できる書類
【ものづくり補助金】
・賃金引上げの宣誓書
【小規模事業者持続化補助金】
・事業支援計画書(様式4)
・特別枠ごとに必要な書類(賃金台帳、労働者名簿等)
・特別枠の宣誓書
まとめ
これらのポイントを押さえて申請することで、採択の確率は必ずアップします。
外部のコンサルタントに任せる場合も、必ずこれらのポイントが押さえられているか、ご自身で申請前に確認しましょう。