2024年度は補助金の公募が年の前半で終了してしまったため、活用できなかった方も多いのではないでしょうか?2024年末に令和6年度補正予算が成立し、そこには多くの補助金施策が盛り込まれました。
今回は2025年度に公募予定の補助金について概要を解説していきます。
2025年度公募予定の補助金(2025/1/3現在)
2025年度に公募が予定されている補助金は以下のとおりです。
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- 事業承継・M&A補助金
- 省力化投資補助金
- 大規模成長投資補助金
- 中小企業成長加速化補助金【新設】
- 中小企業新事業進出促進補助金【事業再構築補助金の後継】
昨年来、補助金の情報が少なく生産性革命事業や事業再構築補助金の先行きについても不透明感がありましたが、生産性革命事業(ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金)についてはこれまでと変わらない(一部拡充もあり)内容となっています。
まだ、公募要領が出ていませんが現段階でわかっている情報を記載します。
2025年度公募予定の補助金概要
ものづくり補助金
ものづくり補助金は機械装置やシステム開発に利用できる補助金です。これまで公募されてきた内容を踏襲したものとなっていますが、違う点もいくつかあります。
- 補助上限額は750万円〜2500万円(従業員数により異なる)
- 補助率は中小企業:1/2、小規模事業者・再生事業者:2/3
- 賃上げ要件はあり。大幅な賃上げを行う計画を策定した場合は補助上限額を上乗せ
- 収益納付は求めない
- 一般事業主行動計画(参照)の公表が必須(従業員21名以上の場合)
- 1000万円以上の設備投資、システム開発を検討している方(生産性改善に関連するもの)
- 大幅な賃上げの予定がある方
- 新たな機械設備を導入して省力化や生産能力増強による販路拡大を図りたい方
- 新たな設備やシステムを導入して省力化や新サービスの導入を行いたいサービス業の方
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者等が業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応などに向けたITツールの導入を支援する制度です。
カタログからの選択式となるため、カタログに掲載されていないITツールは購入ができません。
補助対象経費
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用費
- 導入関連経費(導入コンサルティング、マニュアル作成、従業員向け研修など)
- ハードウェア費用(特定の枠のみ)
補助率
- 通常枠:1/2以内
- セキュリティ対策推進枠:2/3以内
補助上限額
- 通常枠:30万円~450万円
- セキュリティ対策推進枠:上限引き上げ(詳細は公募要領を参照)
- ITツールを導入して業務効率化やDX推進を図りたい方
- インボイス対策のためにITツールを活用したい方
- サイバーセキュリティの強化を検討している方
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは小規模事業者が商工会・商工会議所等と連携して経営計画を作成し、その計画に基づく販路開拓等の取り組みを支援する制度です。個人事業主の方や創業したての方でも申請しやすい補助金です。昨年まで申請枠が多数あり制度が複雑でしたが、今年度は主に4つの申請枠に集約されています。
また、「経営計画策定に重点を置く(原点回帰)」と記載されています。現状内容は不明ですが、より経営計画の精度が求められるようになる可能性があります。
補助金の概要
- 補助対象者:
小規模事業者(常時使用する従業員数 製造業20人以下、サービス業その他5人以下) - 補助率:
2/3(賃金引上げ特例を選択した赤字事業者は3/4) - 補助上限額:
- 通常枠: 50万円
- インボイス特例: 50万円上乗せ
- 賃金引上げ特例: 150万円上乗せ
- 創業型: 200万円(インボイス特例適用)
- 災害支援枠:
- 直接被害: 200万円
- 間接被害: 100万円
- 補助対象経費:
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンライン含む)、旅費、開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費(税理士等への相談・コンサルティング費用など)
特例・特別枠
災害支援枠:
令和6年能登半島地震等の被災小規模事業者が対象で、直接被害の場合は補助上限額200万円、間接被害の場合は100万円となります。
インボイス特例:
免税事業者から課税事業者に転換する場合、補助上限額が50万円上乗せされます。
賃金引上げ特例: 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる小規模事業者は、補助上限額が150万円上乗せされます。
創業型: 産業競争力強化法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者が対象で、補助上限額は200万円(インボイス特例適用)です。
- 販路開拓のために機械装置や販促物の製作を検討している小規模事業者・個人事業主の方
- 市区町村などが実施する「特定創業支援事業」を完了した方
- 令和6年の「能登半島地震・豪雨」で被害を受けた事業者の方
事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを目的として、事業承継やM&Aに関連する費用を支援する制度です。
補助金の概要
- 事業承継促進枠: 5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している事業者が対象で、設備投資等に係る費用を補助します。
- 専門家活用枠: M&A時の専門家(フィナンシャル・アドバイザーや仲介業者)の活用に係る費用や、表明保証保険料等を補助します。
- PMI推進枠: M&A後の経営統合(PMI)に係る費用(専門家費用、設備投資等)を補助します。
- 廃業・再チャレンジ枠: 事業承継やM&Aに伴う廃業等に係る費用(原状回復費、在庫処分費等)を補助します。
補助率・補助上限額
- 補助率: 1/2または2/3(小規模事業者の場合、2/3)
- 補助上限額:
- 事業承継促進枠:800~1,000万円(一定の賃上げを実施する場合、上限1,000万円)
- 専門家活用枠:買い手支援類型で600~800万円、売り手支援類型で600~800万円(デューデリジェンス費用を申請する場合、200万円を加算)
- PMI推進枠:PMI専門家活用類型で150万円、事業統合投資類型で800~1,000万円(一定の賃上げを実施する場合、上限1,000万円)
- 廃業・再チャレンジ枠:150万円(他の枠と併用申請する場合、それぞれの補助上限に加算)
- 事業承継を検討している中小企業: 親族内や従業員への事業承継を計画している事業者が、円滑な承継と生産性向上を図るために活用できます。
- M&Aを通じて事業拡大を目指す企業: 他社の買収や統合を検討している事業者が、専門家の支援やPMI活動を円滑に進めるための費用に充てることができます。
- 廃業を考慮し、再チャレンジを目指す事業者: 事業承継やM&Aに伴う廃業を計画し、新たな事業展開を目指す事業者が、廃業に伴う費用負担を軽減するために利用できます。
省力化投資補助金
「中小企業省力化投資補助金」は、中小企業や小規模事業者が人手不足の解消や生産性向上を目的として、省力化に資する設備やシステムを導入する際の費用を支援する制度です。これまではカタログ掲載の設備しか購入ができませんでしたが、今後はそれに加えてオーダーメイドの設備も対象となるようです。
補助金の概要
この補助事業は、以下の2つの枠組みで構成されています。
- カタログ注文型
- 清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン、無人搬送車など、人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載。
- 中小企業等が自社の課題に合わせて製品を選択し、導入を支援します。
- 一般型
- 業務プロセスの自動化・高度化、ロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、各事業者の現場や事業内容に合わせた設備導入やシステム構築を支援します。
補助率と補助上限額
- 補助率
- 原則1/2
- 小規模事業者や再生事業者の場合、2/3
- 最低賃金引上げ特例適用時、補助率が2/3に引き上げ(小規模・再生事業者は除く)
- 補助上限額
- カタログ注文型
- 従業員数5人以下:200万円(大幅賃上げ実施時:300万円)
- 6~20人:500万円(同上:750万円)
- 21人以上:1,000万円(同上:1,500万円)
- 一般型
- 従業員数5人以下:750万円(大幅賃上げ実施時:1,000万円)
- 6~20人:1,500万円(同上:2,000万円)
- 21~50人:3,000万円(同上:4,000万円)
- 51~100人:5,000万円(同上:6,500万円)
- 101人以上:8,000万円(同上:1億円
- カタログ注文型
- 人手不足を設備投資により補いたいと考えている方
- 業務効率化や生産性向上による競争力向上を目指す事業者の方
- 賃上げを検討している方
中小企業新事業進出促進補助金【事業再構築補助金の後継】
「中小企業新事業進出促進事業(新市場進出補助金)」は、中小企業や小規模事業者が新たな市場や高付加価値事業への進出を支援するための補助金制度です。内容的に事業再構築補助金の後継とも言える補助金ではないでしょうか。
建物費や事業再構築補助金では対象外だった構築物についても補助対象となっています。新規事業のために建物の建設や改装が必要な事業を検討されている場合はこの補助金が活用できそうです。
事業再構築補助金でも既存事業との違いが明確にならない場合、交付申請で経費が認められないケースがありましたが、この補助金でも同様だと思います。明確に「新規事業」と言える取り組みに活用しましょう。
補助金の概要
この補助金は、既存事業とは異なる新規事業への挑戦を促進し、企業の成長や生産性向上、さらには賃上げにつなげることを目的としています。
補助対象経費
- 建物費
- 構築物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
補助率
- 1/2
補助上限額
- 従業員数20人以下: 2,500万円(大幅賃上げ特例適用時:3,000万円)
- 従業員数21~50人: 4,000万円(同上:5,000万円)
- 従業員数51~100人: 5,500万円(同上:7,000万円)
- 従業員数101人以上: 7,000万円(同上:9,000万円)
- 新規事業展開を計画している企業: 既存事業とは異なる分野への進出を検討している中小企業や小規模事業者。
- 建物や構築物の新設・改装が必要な企業: 新規事業実施のために建物の建設や改装が必要な方。
- 新市場への進出を検討している企業: 地域や業種を超えて新たな顧客層の獲得を目指す方。
中小企業成長加速化補助金【新設】
「中小企業成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業を対象に、大胆な設備投資を支援する制度です。意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的成長を実現するため、設備投資や多様な経営課題への支援を行うものになります。
売上高100億円を目指す宣言を今後公開されるポータルサイト上で行う必要があり、投資額も1億円以上が条件であるため、ある程度規模が大きい会社を対象とした補助金です。
補助金の概要
- 補助対象者: 売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業。
- 補助上限額: 5億円(補助率1/2)。
- 補助対象経費: 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費など。
- 補助事業実施期間: 交付決定日から24か月以内。
申請要件
- 投資額: 1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)。
- 「売上高100億円を目指す宣言」の実施: 中小企業が自ら「売上高100億円を超える企業になること」、「それに向けたビジョンや取組」を宣言し、ポータルサイト(令和7年春頃開設予定)上に公表すること。
- 賃上げ要件: 持続的な賃上げに取り組むこと。
- 飛躍的成長を目指す中小企業: 売上高100億円を目指し、大規模な設備投資や事業拡大を計画している企業。
- 新市場への進出や事業転換を検討している企業: 新たな分野への参入や事業モデルの転換を図り、成長を加速させたい企業。
- 生産性向上や省力化投資を計画している企業: 最新の設備導入やシステム構築を通じて、業務効率化や生産性向上を目指す企業。
大規模成長投資補助金
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が人手不足などの課題に対応し、成長を目指すための大規模投資を支援する制度です。
補助金の概要
- 補助対象者: 常時使用する従業員数が2,000人以下の中堅・中小企業(単体ベース)。
- 補助上限額: 50億円(補助率1/3以内)。
- 補助事業期間: 交付決定日から最長で令和8年12月末まで。
申請要件
- 投資額: 10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)。
- 賃上げ要件: 補助事業終了後3年間の対象事業に関わる従業員等1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であること。
- 特別枠要件(該当する場合): 令和6年度中(令和7年3月末まで)に補助事業が完了見込みであること。
- 工場などの拠点新設や10億円を超える大規模な設備投資を検討している方。
- 最新設備を導入して生産性の向上を図りたいと考えている方
- 継続的な賃上げを行う計画のある方
まとめ
2025年1月3日時点では、各補助金について公募要領は公開されておらず、まだ詳細は不明です。今後情報が徐々に出てくると思いますので、当サイトでも順次情報発信していきます。
補助金については、一昨年ころより審査が厳しくなってきており、補助金の目的に合致しているか、補助対象経費の対象に該当しているかは以前よりも厳しく判定されるようになってきています。
また、資金調達の面でも金融機関の審査も以前より厳しくなっています。採択されたら当然のように借入ができるとは考えない方がよいでしょう。
このことから、以前よりも綿密な事業計画および投資計画を策定することが必要になっています。
当社はコンサルティング事業のノウハウを活かし、補助金申請だけでなく、事業計画全般や事業遂行まで支援することが可能です。
補助金はうまく活用すれば、事業の推進に大きく役立つものになります。補助金の活用を検討している方はぜひお気軽にお問い合わせください。