飲食店等の外食産業の事業成長に向けた前向きな取り組みを補助する補助金「外食産業事業成長支援補助金」が農林水産省から公募開始されました。
公募期間は2023年4月17日(月)~5月31日(水)です。
新たな商品・サービスの提供や提供方法の変更にかかる費用が補助されます。最大補助額は1,000万円(補助率1/2)と補助額も多く、建物の建設費・改修費や機械装置の購入費、広告宣伝費などが補助されます。
飲食店を経営されている方で、新たな事業展開を検討されている方は、ぜひこのブログを読んで、申請を検討してみてください。
外食産業事業成長支援補助金の概要
まずは、この補助金の概要について説明します。
応募できる対象者
以下の5つの条件を満たす場合、この補助金に応募できます。
- 飲食店であること(「飲食店営業」又は「喫茶店営業」の許可を得ていること)
- 令和3(2021)年1 月1 日以前から現在(申請時点)まで飲食店としての事業活動を営んでいること。また、令和3(2021)年度と令和4(2022)年度の売上高を比較したときに、売上伸長率が115%以下であること。ただし、対前年度比115%を超える者であっても、新型コロナウイルス感染症拡大以前の令和元(2019)年度比で令和4(2022)年度の売上伸長率が100%以下の事業者は対象とする。
※事業者の事業年度にかかわらず、各年度は1 月1 日から12 月31 日までの1 年間とする。
※令和3(2021)年度の事業期間が1 年未満の事業者は応募対象とはなりません。 - 飲食店事業以外の事業も営んでいる場合は、令和4(2022)年度の飲食店事業の売上割合が70%以上であり、飲食店事業とその他事業を区分した売上・経費を証明できること。
- 以下のいずれかの要件を満たすこと。
ア 資本金5千万円以下又は従業員数が50人以下(役員含む)であること。
イ 資本金の額又は出資の総額が10億円未満(資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員数が2,000人以下)の法人(アに該当する者を除く。)であること。 - 同じ応募内容で本事業以外の他の国庫又は公費による補助等※の交付対象者又は交付候補者となっていないこと。(他の補助等への応募段階である場合には、本事業に応募することは差支えありません。)
※農林水産省のみならず他省庁、地方公共団体等の補助金、委託費、交付金等を含む。
引用:外食産業事業成長支援補助金 一次公募 公募要領を基に作成
基本的には2021年以前から飲食店や喫茶店を営んでおり、2021年1月~12月の売上高合計と2022年の同時期を比較して売上高が115%以下の伸び率であれば申請できます。
法人として、他の事業も営んでいる場合、飲食店事業の売上割合が70以上である必要があります。
既存事業がテイクアウトのみの店舗は対象とはならず、令和3(2021)年1月1日以前から店舗として飲食店営業を営んでいることが要件です。
また、本補助金の応募は金融機関、コンサルタント、中小企業診断士等の外部協力者と共同で申請する必要があります。
5つめの条件にある通り、経済産業省公募の事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金などで同じ取組について補助を受けた方は対象外となります。異なる事業を行うのであれば対象となる可能性があります。
補助対象となる事業計画
公募要領には「様々な経営環境変化の中で事業継続および事業成長が可能となる業態転換等の計画」を補助対象とするという記載があります。
コロナや原材料・エネルギー価格の高騰など、飲食店を取り巻く外部環境の変化に対応するために、新たな業態に転換することを計画する必要があります。
公募要領には取り組み例として以下の内容が挙げられています。
【現在扱っている商品・サービスの内容を変えること】
- 居酒屋から焼肉店に転換する
- テイクアウト・デリバリー用のメニューを開発する
- 新しい食材とメニューで新たな顧客を獲得する
- 飲料の計量自販機を設置し、お客様自身で受け取る仕組みをつくる
- お客様のスマホを活用した、多言語セルフオーダーシステムを導入する など
【商品・サービスの提供方法を変えること】
- イートインからテイクアウトを拡大するため販売窓口を設置する
- キッチンカーを改装し、店舗外での販売を強化する
- 店舗での人気商品をEC サイトで全国に販売する
- 半加工品の冷凍保存による、調理時間の短縮と業務効率化を図る など
このように飲食店のあらたな取り組みが補助されます。既存のメニューやサービスでも、提供方法を変える(ECで販売する、セルフ対応にするなど)ことも対象となります。
補助対象経費
補助の対象となる経費は以下のとおりです。
費目 | 内容(抜粋) |
---|---|
(1)建物費 | 補助事業のために使用される事務所、生産設備、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫などの建設・改修費用 |
(2)機械装置・システム構築費 | 補助事業のために使用される機械装置、工具・器具等の購入、製作、借用に要する経費。専用ソフトウェア、情報システム等の購入・構築・借用に要する経費 |
(3)技術導入費 | 本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費 |
(4)運搬費 | 本事業に要する資材等の運搬料、宅配便・郵送料等に要する経費 |
(5)広告宣伝・販売促進費 | 本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費 |
(6)研修費 | 本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費 |
委託費 | 本事業を遂行する上で、特殊な知識・技術等を必要とする場合 に、 事業の一部を、能力を有する第三者に委託する経費 |
取り組み例にキッチンカーが挙げられていますが、キッチンカー(車両)購入は補助対象外なので注意しましょう。ただし、車両に載せる設備の購入や設置費用は補助対象となります。
補助率・補助上限額
補助上限額:1,000万円
補助下限額:100万円
補助率:1/2
事業総額が200万円に満たない計画は対象外になります。
補助事業期間
補助事業期間は令和6年(2024年)2月15日までです。この日までに事業を完了させ、実績報告書を提出する必要があります。
申請方法
申請のためには以下のサイトから事前にIDを発行する必要があります(GビズIDではありません)。IDとパスワードを登録すると、申請用サイトのURLが送られてくるようです。
注意点
申請は共同事業者と一緒に行う必要がある
この補助金では外部の共同事業者と一緒に申請をする必要があります。共同事業者の例としてはコンサルタントや金融機関、中小企業診断士、メーカー、施工会社等があげられています。資本関係のある事業者は共同事業者とはなれないので、外部から探す必要があります。
申請時に共同事業者の概要資料や支援実績なども提出する必要があり、共同事業者の協力体制や事業内容も合わせて審査される可能性があります。
なお、当社は共同事業者として支援対応が可能です。もし、共同事業者が見つからずお困りの際はご相談ください。
応募申請時に見積書を提出しなければならない
本補助金では応募申請時に見積書を提出する必要があります。審査項目にも「事業内容に見合った経費で、精度の高い積算がなされているか」という項目があり、経費内容も審査に影響するようです。締切りまでに時間がありませんので、申請を検討される方は早めに見積書を取得しましょう。
事業再構築補助金が使えない人も可能性あり
この補助金は申請要件が2021年と2022年を比較して売上の増加率が115%以内であれば申請可能なので、事業再構築補助金よりも要件が緩いです。事業再構築補助金では申請ができなかった方も、こちらで申請できる可能性もあります。
新たなサービス展開を行いたいと考えている方、経費や原料高騰に対応するためサービスの提供方法を変えたいと考えている方には最適な補助金です。
締切まで時間がありませんので申請をご検討の方は、お早めにご連絡ください。