東京都から最大1億円が助成される「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」の第8回募集スケジュールが公表されました。「競争力強化」や「生産性向上」を目的とした設備投資が補助される助成制度で助成上限額は最大1億円と大型の助成制度となっています。
国のものづくり補助金よりも助成規模が大きいので、大規模な設備投資をお考えの方はぜひ検討されてみてはいかがでしょうか?
- 目的:中小企業の「製品・サービスの質的向上」による競争力強化と「生産能力の拡大」を支援
- 対象事業:競争力強化、DX推進、イノベーション創出、後継者チャレンジの4区分
- 助成内容:機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入経費(1基50万円以上)が対象
- 助成率:中小企業者1/2~3/4、小規模企業者2/3~3/4
- 助成期間:令和7年4月1日~最長令和8年9月30日
- 助成限度額:100万円~最大1億円
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躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは
事業概要
この助成金は、都内中小企業者が製品・サービスの質向上や生産能力の拡大を通じて競争力を強化するために必要となる機械設備の導入を支援するものです。この助成金制度の目的は、都内中小企業の中長期的な成長を促進し、東京の産業力を強化することです。
申請資格
この助成金を申請するには、いくつかの要件を満たす必要があります。
- 東京都内に事業所を持つ中小企業であり、登記簿上の本店または支店が都内に存在すること。
- 東京都内で基準日基準で2年以上事業を行っていること。
- 過去にこの助成金を受けたことがある企業は、その助成金の額が確定していることが必要です。
- 同一の機械設備で他の助成金を受けていないこと。
- 中小企業者であること。
小規模企業者に対する特別な支援も用意されており、助成率が高く設定される場合もあります。
対象事業
この助成事業の対象となる設備は、製品やサービスの質的向上や生産能力の拡大に寄与するものであることが求められます。具体的には、競争力強化のために新たな生産体制を構築するための機械設備の導入や、生産工程の自動化・効率化を図るためのデジタル技術(IoTやAI、ロボットなど)の導入が該当します。また、イノベーション分野では、新製品の開発や新サービスの提供に必要な機械設備の導入が対象となり、事業承継を契機とした後継者による新たな取組みも支援の対象とされています。
対象事業は主に以下の4つのカテゴリーに分類されます。
- 競争力強化
- 企業の競争力強化や生産性向上を目指し、新たな機械設備を導入する事業。
- 「ゼロエミッション」「賃上げ」で申請する場合は、労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額)を年率3%以上向上させる計画が求められます。
- DX推進
- IoT、AI、ロボット、デジタル技術を活用して新しい製品やサービスを構築し、既存のビジネスを変革するための設備導入を支援。
- DX推進により、同様に労働生産性の向上が期待されます。
- イノベーション
- 国内外の市場で拡大が期待される産業分野において、革新的な製品・サービスの提供を目指す新事業活動のために必要な設備導入。
- 例えば、新しい製品の生産やサービス提供の方法などが対象となり、生産性向上が求められます。
- 後継者チャレンジ
- 事業承継を契機として、後継者が中心となって事業の多角化や新たな経営課題に取り組む際に必要な設備導入。
- 従業員一人当たりの労働生産性の向上(年率3%以上)を目指すことが条件です。
- ほとんどの事業において、従業員一人あたりの付加価値額(=労働生産性)を年率3%以上向上する計画を策定することが必要です。
- 付加価値額とは「人件費+減価償却費+営業利益」で計算されます。
助成対象経費
助成の対象となる経費は、次の条件を満たす必要があります。
- 機械設備、器具備品、ソフトウェアなどの新たな導入に関連する経費(1基50万円(税抜き)以上のものに限る)。
- 助成対象期間内に契約、納品、支払いまでが完了する経費。
ソフトウェアについては、DX推進事業であれば、カスタムソフトウェアの導入も助成の対象となりますが、基本的には既製品(パッケージ、アドオン、プラグイン等)のみが対象です。
以下の経費は対象外となることがあります。
【対象外経費となる例】
- デモンストレーション等を目的とし、生産や役務の提供のために 直接使用しない機械設備の導入経費
- 既存機械設備の改良・修繕及び撤去・移設・処分に係る経費
- 中古品の購入経費 ・ 諸経費等、内容が不明瞭な経費
- 設置場所の整備工事や基礎工事、電気工事等に係る経費
- 機械設置後に発生する費用(年間保守料、バージョンアップ費 用、定期的な技術指導、教育訓練費用 等)
- 割賦、リース、レンタル、従量課金や定量課金、ライセンス使用 に係る経費 等
その他にも助成対象となる経費については要件があります。申請にあたっては募集要項を必ずご確認ください。経費が対象になるか不安な場合は一度ご相談ください(対象になるかどうかの判断はできかねますので、ご了承ください)。
助成率および助成金の限度額
助成率は、通常1/2(中小企業の場合)ですが、ゼロエミッションや賃上げを実施する場合には、助成率が2/3、または3/4に引き上げられる可能性があります。
助成金の限度額は、最大で1億円、最低でも100万円となっています。
ゼロエミッション要件とは、省エネ設備や再生可能エネルギーを利用した事業に取り組む場合に適用されるもので、省エネルギー効果が確認できる事業者には助成率が優遇されます。
賃上げ要件は、申請企業が従業員の給与を一定水準以上引き上げる計画を持っている場合に適用され、この要件を満たす企業も助成率が拡充されます。
審査プロセス
審査は一次審査と二次審査の2段階に分かれます。
- 一次審査では、申請資格の確認と事業計画の内容が審査されます。特に、経理内容(安全性、収益性、成長性)が重要です。
- 二次審査は、面接や価格審査が行われ、最終的な採択が決定されます。
審査においては、特定の条件を満たす企業(例: DX推進事業に関する支援を既に受けた企業)には加点措置が取られることがあります。
- 二次試験(面接)は外部のコンサルタントや社外顧問等は参加できません。必ず企業の方が計画を説明できるようになっていることが必要です。
- 審査の観点としては、申請内容が事業の目的に適合しているか、事業計画が妥当で実現可能か、また、設備導入後に事業の成長・発展が見込まれるかなどが重視されます。
助成事業の注意点
助成金が交付された後も、以下の点に注意する必要があります。
- 助成金は後払い方式であり、設備の導入や支払いが完了した後に助成金が交付されます。
- 事業完了後は、5年間の事業化状況の報告が必要です。助成金の適切な使途や設備の活用状況が確認され、相当の収益が得られた場合には、その一部を納付する義務が発生します。
スケジュール
この助成金の第8回募集は以下のスケジュールで進行します。
- 申請予約期間: 令和6年10月23日~令和6年11月6日
- 申請受付:令和6年11月1日~令和6年11月15日
- 審査: 令和6年11月中旬~令和7年2月中旬
- 交付決定: 令和7年3月中旬
- 事業開始:令和7年4月1日~
申請書類の提出は、国の「Jグランツ」電子システムを通じて行われます。事前に「GビズIDプライム」のアカウントを取得する必要があり、この発行には約2週間かかるため(ただし、代表者がマイナンバーカードを所有していれば即日発行可能です)、早めの準備が必要です。
- 申請のためには事前に東京都中小企業振興公社のWEBサイトから申請予約を行う必要があります。
- 審査は1次審査(書類審査)と2次審査(面接等審査)があり、1次審査に合格した方の2次審査に進みます。
- 実際に事業を開始(=設備を発注)できるのは令和7年4月以降となりますので、すぐに投資したい方は活用が難しいです。
まとめ
最大1億円まで助成される、とても魅力的な制度ですが、当然審査も厳しくなっています。面接試験への対応も必要となるため、しっかりと準備をして臨まないと採択は難しいでしょう。
採択率は公表されていませんが、国のものづくり補助金などと比較しても採択率は大幅に低いと思われます。しっかりとした計画をたてて、申請に臨むようにしましょう。
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