3月30日更新

事業再構築補助金は第10回から令和4年度第二次補正予算の内容に変更されます。これまでの申請枠が一新され、以下のような新たな申請枠組みとなります。

中小企業庁:事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要

その中でも、新たに創設された「成長枠」の内容について、今回は詳しく見て行きましょう。

事業再構築補助金「成長枠」とは?

「成長枠」とはどのような申請枠なのでしょうか?

中小企業庁:事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要

補助率と補助上限額は以下のようになっています。

従業員数補助上限額
20人以下2,000万円
21~50人4,000万円
51~100人5,000万円
101人以上7,000万円
補助率
【中小企業】 1/2(大規模な賃上げ※を行う場合2/3)
【中堅企業】 1/3(大規模な賃上げ※を行う場合1/2)
※事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること。

大きなポイントは売上減少要件の撤廃です。

これまでの事業再構築補助金ではコロナ前とコロナ発生後を比較して売上高が10%以上(付加価値額の場合は15%以上)減少していないと申請ができませんでした。

今回の「成長枠」では、以下の要件を両方とも満たすことで売上が減少していなくても申請が可能となります。

  1. 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
  2. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

これまで、売上が減っていなくて申請できなかった方には朗報ですね。

なお、本枠では「事前着手申請」ができなくなる見通しです。既に始めてしまった事業では申請はできないので注意が必要です。

市場規模が10%以上拡大する業種・業態とは?

では、①の条件である「市場規模が10%以上拡大する(した)業種・業態」とは、どのような業種・業態なのでしょうか?

これらの業種は事務局が指定すると概要資料には記載されており、令和5年3月30日時点では110業種が指定されています(具体的業種はこちら)。

現状では製造業が多く、サービス業は少ないですね。

なお、指定業種は今後業界団体からの申請などでも増える予定であり、現在リストに入っていなくても今後追加されていく可能性があります。

また、応募時に対象業種となっていなくても、市場規模が拡大する根拠となるデータ等を添付して申請することで、対象となることもあり得るとのことです。

成長業種について

市場規模については、過去10年もしくは今後10年のどちらかが10%以上拡大すれば(していれば)対象となる可能性があります。ただし、過去の場合はコロナの影響を排除するため、2019年以前の10年(2009年~2019年)で比較しなければならないとのことです。

また、2019年だけ極端に増加しているような場合は対象とならず、10年間に渡って上昇トレンドであることが必要です。

給与支給総額の増加も必要

もう一つの条件が「給与支給総額の年率平均2%増加」です。3年計画だと基準年度と比較して+6%、5年計画だと+10%の給与支給総額引上げが必要になります。

ものづくり補助金が年率平均1.5%の引上げなので、それ以上に高い目標を課せられることになります。

目標を超えて大規模な賃上げ(事業終了時点で給与支給総額を+6%、事業場内最低賃金を+45円以上の水準にする)をした場合は補助率が上乗せになります。

現在、未達の場合に補助金返還となるかは不明ですが、ものづくり補助金と同じルールとなると、未達の場合は補助金返還を求められる可能性があります。

成長分野に進出するのだから賃金も当然上げられますよね、ということでしょうか。

給与支給総額の定義がまだ明らかになっていませんが、ものづくり補助金と同じであれば以下の内容となります。※情報がわかりしだい更新します

給与支給総額は「法人事業概況説明書」の人件費の欄で判断するとのことが公募要領には記載されています。

注意!

公募要領によると「直近決算の給与支給総額≦基準年度の給与支給総額」である必要があるとのこと。つまり、基準年度だけ給与支給総額を引き下げて、そこから年率平均2%の賃上げをしてもダメということです。

どんな取り組みが考えられる?

では、成長枠ではどのような取り組みが考えられるでしょうか?対象となる業種から考えてみます。

非破壊検査業

プラントや橋りょう(梁),ビル等の構造物等の安全確保のため,放射線,超音波,渦電流,浸透現象等を利用して構造物,設備を破壊せずに検査する事業所をいいます。近年ではドローンや3Dスキャナーを使用した非破壊検査が行われるようになってきており、本事業の活用も可能と考えられます。

パン・菓子製造業

パン・菓子製造業は比較的検討される方も多いのではないでしょうか?新たにパン屋やケーキショップを開店する場合、成長枠の対象となります。

食品関係はこの他にも「畜産食料品製造業」「調味料製造業」「動植物油脂製造業」「その他の食料品製造業」「製氷業」が対象となっており、様々な用途で活用ができそうです。

その他の生産用機械・同部分品製造業

業種名だけではどのような業種を指すのかわかりませんが、この中には「ロボット製造業」が含まれています。産業用ロボットは工場のIoT化の流れもあり、今後も需要が大きく拡大することが予測されています。このような産業用ロボット製造に進出する場合も、成長枠を活用することができるでしょう。

まとめ

第10回から新設される「成長枠」は、対象となる業種・業態に該当する場合は売上減少要件が撤廃されるため、これまで売上が減っておらず申請できなかった方にも申請するチャンスがあります。

これまで申請を諦めていた方も、一度補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

事業分野が対象となる業種に該当するか、わからない場合は当社までご相談ください。相談は無料です。

POINT
  • 第10回から「成長枠」が新設
  • 新事業が対象となる業種に該当すれば、売上が減ってなくても申請可能
  • 給与支給総額を年率平均2%以上増加させる必要あり
  • 今後、対象となる業種は追加されていく見込み
  • 事前着手申請はできない