事業再構築補助金を活用して新事業に進出する際に、新たな人材を雇用する必要があるケースも多いと思います。既存の社員だけでは人手が足りない、ノウハウを持った社員がいないなどは新たに人材を雇用する必要があります。

ただ、事業再構築補助金では人件費は対象外のため、新たなリスクの高い新事業のために雇用をためらってしまう方も多いのではないかと思います。

そのような場合には「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」の活用を検討してみては、いかがでしょうか?

この助成金を活用すると、事業再構築事業のために新たに雇い入れる労働者の給与を一部助成してもらえます。今回は「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」について解説していきます。

助成金の概要だけ知りたい人はここだけ読んでください
  • 事業再構築のために雇入れた従業員の給与の一部が助成される助成金
  • 事業再構築補助金第10回以降の「最低賃金枠」もしくは「物価高騰対策・回復再生応援枠」に採択された事業者が対象
  • 1年間に350万円以上の給与(時間外手当や休日手当などを除いた、毎月決まって支払われる基本給および諸手当に限る)を支払う人が対象
  • 助成金を申請するためには、事業再構築補助金の申請書の「実施体制」の部分に、人材確保に関する事項を記載する必要あり
  • 一事業主あたり5人まで
  • 詳しいことは厚生労働省「産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)」のWEBサイトで確認

産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の概要

助成金の概要

新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、新たな事業への進出等の事業再構築を行うために、当該事業再構築に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するもの。

助成対象者

対象となる事業主

  1. 令和5年4月1日以降に中小企業庁の実施する「事業再構築補助金」の応募書類を提出し、交付決定を受けていること。第10回公募要領の「物価高騰対策・回復再生応援枠」および「最低賃金枠」に限ります。また、事業計画に記載する「実施体制」の中に人材確保に関する事項を記載した場合に限ります。
  2. 次のa~cの全ての条件を満たすこと
    a.雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
    b.期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れること
    c.「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること
  3. 下記の労働者の雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間に、雇用する労働者を解雇等していないこと

対象となる労働者

  1. 次のaかbのいずれかに該当する者a.専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者b.部下を指揮および監督する業務に従事する者で、係長相当職以上の者
  2. 1年間に350万円以上の賃金が支払われる者

助成金額

中小企業中小企業以外
助成額280万円×人
(140万円×2期)
200万円×人
(100万円×2期)
助成対象期間1年1年
※1事業主最大5人までの支給
※雇い入れから6か月を支給対象期の第1期、次の6か月を第2期として、6か月ごとに2回に分けて支給

中小企業で5名雇用した場合、最大1400万円(700万円×2期)の助成が受けられる可能性があります。

注意点

対象は期間の定めのない従業員のみ

対象となるのは上記のとおり「雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者」かつ「期間の定めのない労働契約を締結する労働者」であり、一時的なアルバイトやパートタイム従業員は対象外となります。

1年間に350万円以上の賃金を支払う人材が対象

助成対象者は「1年間に350万円以上の賃金が支払われる者」です。気を付けなくてはならないのは、この350万円には残業代や休日出勤などの時間外手当やボーナスは含まない点です。毎月決まって支払われる「基本給」と「諸手当」が350万円以上である必要があります。

また、助成金は雇入れから6か月を支給対象期の第1期、次の6か月を第2期として、6か月ごとに2回に分けて支給されることになりますが、それぞれの支給対象期に支払った上記の賃金が175万円を超えていない場合は、その期は助成金の支給を受けることはできません。

事業再構築補助金第10回以降の「最低賃金枠」もしくは「物価高騰対策・回復再生応援枠」に採択された方が対象

この助成金は事業再構築補助金の第10回以降の「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」に採択・交付決定された方が対象です。第9回までで採択を受けている方は対象とはなりません。

申請を希望する場合は「事業再構築補助金」申請書に記載が必須

この助成金の支給を受けるためには、「事業再構築補助金」の申請書の「実施体制」の欄に以下の3点を記載する必要があります。

  • 採用予定者の配置部署・役職名、部下の有無
  • 採用予定者が従事する業務の内容(事業再構築との関連性を含む)、職種
  • 採用予定者に求める資格、スキル、経験など

記載を忘れてしまうと申請できなくなるので、忘れずに記載しましょう。また、記載した内容と異なる人材・条件で雇用した場合も対象外となってしまう可能性があります。よく内容を検討してから申請するようにしましょう。

POINT

助成を受けるためには、これ以外にも細かい条件があります。また賃金台帳や雇用契約書などの書類の整備も必要です。社会保険労務士事務所や支援機関によく確認をして進めましょう。

まとめ

この助成金は事業再構築事業を行うために新たに雇い入れるコア人材の給与の一部を助成してもらえる助成金で、新事業を行うにあたって新規雇用が必要な方は、ぜひ申請を検討してみるとよいでしょう。

支給を受けるためには、ここに記載した以外にも細かい条件があります。必ず以下のリンク先に掲載されている支給要項を確認の上、申請をご検討ください。

当社では当助成金の支援は行っていません

当社では本助成金の申請サポートについては、対応しておりませんのでご了承ください。申請については社会保険労務士事務所や公的支援機関にご相談ください。