事業再構築補助金とはポストコロナ時代の環境変化に対応するために、中小企業が実施する思い切った事業の再構築を支援する補助金です。2021年の3月に第1回の公募が始まってから、これまで(2023年3月30日時点)に既に9回公募が行われています。

このページでは、事業再構築補助金の概要と内容について、わかりやすく解説していきます。

事業再構築補助金とは

中小企業庁が出している「事業再構築補助金の概要」(10.0版)には以下のように記載されています。

ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

中小企業庁 「事業再構築補助金の概要10.0版」

簡単に言えば、コロナの影響で経営に大きなダメージを受けている事業者の、新しい時代を見据えた新たな取り組みを支援しようというものです。事業の再構築には新たな機械を導入したり、建物の建設・改修が必要となります。

コロナで影響を受けている企業は、そのお金を自力で捻出するのは厳しいので、前向きで実現性のある取り組みを行う企業には国が補助をしましょうということです。

10次公募からは、コロナの影響に関わらず成長分野などに転換する場合は補助が受けられるようにもなりました。

ただし、補助金は設備資金などの支払いが終わった後に入金されるため、先に投資資金を準備する必要があります。

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申請対象者は?

申請の対象者は中小企業者および中堅企業者です。自社が中小企業かどうかは基本的には「資本金の額」と「従業員数」で判断されます。公募要領に記載されている中小企業者の定義は以下の表のとおりです。

中小企業者の定義
引用:事業再構築補助金第9回公募要領

資本金か従業員数のどちらかが上表の数値以下であれば対象です。両方とも満たす必要はないので注意してください。

中堅企業とは上表に該当せず、かつ以下の要件を満たす企業となります。

  • 資本金の額又は出資の総額が 10 億円未満の法人であること
  • 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員数(常勤)が2,000 人以下であること

なお、自社が上記要件に該当した会社であっても大企業に株式の大半を所有されている場合などは「みなし大企業」として申請ができない場合がありますのでご注意ください。

注意!

公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等、補助金以外の国からの補助を受けて運営する事業は、補助の二重取りとなるため申請できません。他の補助金で交付決定を受けた事業と同じ事業についても申請することはできません。

申請に必要な要件

申請を行うには3つの要件+各申請枠ごとの要件を満たす必要があります。

1.事業再構築指針を満たす取り組みである

ここまで「事業再構築」という言葉を説明なく使ってきましたが、この補助金での「事業再構築」は明確に定義が定められています。「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5つに当てはまる取り組みである必要があります。当てはまらない取り組みは本補助金に申請することはできません。

事業再構築指針3.0
引用:事業再構築指針の手引き(3.0版)

9次公募までとは、内容が変更になっています。新分野展開と業態転換は「新市場進出」にまとめられていますね。

事業再構築指針の詳細については「事業再構築指針の手引き」を参照ください。

2.認定経営革新等支援機関と一緒に計画策定を行う

事業再構築補助金は事業者単独では申請できません。認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)と一緒に計画策定を行う必要があります。

申請する補助金額が3,000万円を超える場合は、金融機関が参加して計画策定を行う必要があります。

申請時には認定支援機関の確認書を添付する必要があるので、まずは一緒に計画を策定してもらえる機関を探すことが必要です。

なお、当社代表の日下も個人として認定支援機関の認定を受けております。

引用:事業再構築補助金の概要(10.0版)
認定経営革新等支援機関とは

認定経営革新等支援機関とは中小企業の経営改善を支援するために、経済産業省が認定した専門の支援機関のことを指します。一定レベル以上の経営に関する知識や実務経験を有する機関であるという認定です。金融機関、公認会計士・税理士・中小企業診断士等の士業、民間コンサルティング会社、商工会・商工会議所などが認定を受けています。認定支援機関は中小企業庁のサイトでも検索することができます。https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kikan.htm

以上3つの要件を満たすことで、申請することができます。特別枠に申請する場合は上記以外にも追加の条件がありますので、ご自身の会社が当てはまっているか判断できない場合は、一度ご相談ください。

3.付加価値を増加させる取り組みであること

補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以
上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)
以上増加させることが必要です。

付加価値とは

付加価値とは「営業利益+減価償却費+人件費」で計算されます。

9次公募まではすべての申請枠に「売上減少要件」が付されていましたが、10次公募からは、一部申請枠について「売上減少要件」が撤廃されています。
これまで、売上が減っていなかったため申請を諦めていた方も、10次公募以降では申請が可能となる可能性があります。
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補助率・補助上限額一覧

補助率と補助上限額一覧は以下のとおりです。申請する枠や従業員数によって異なります。基本的には従業員数が多くなるほど、補助金上限額が高くなっています。従業員数に役員はカウントされませんのでご注意ください。

申請類型補助率補助上限額
成長枠中小企業者等 1/2
(大規模な賃上げ※1を行う場合は2/3)
中堅企業等 1/3
(大規模な賃上げ※1を行う場合は1/2)
【従業員数 20 人以下】
 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】
 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】
 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員数 101 人以上】
 100 万円 ~ 7,000 万円
グリーン成長枠中小企業者等 1/2
(大規模な賃上げ※1を行う場合は2/3)
中堅企業等 1/3
(大規模な賃上げ※1を行う場合は1/2)
(エントリー)
中小企業者等
【従業員数 20 人以下】
 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 21~50 人】
 100 万円 ~ 6,000 万円
【従業員数 51 人以上】
 100 万円 ~ 8,000 万円
中堅企業等
 100 万円 ~ 1 億円
(スタンダード)
中小企業者等
 100 万円 ~ 1 億円
中堅企業者等
 100 万円 ~ 1.5 億円
卒業促進枠
(※2)
中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。
大規模賃金引上促進枠
(※2)
中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
100万円~3,000万円
産業構造転換枠中小企業者等 2/3
中堅企業等 1/2
【従業員数 20 人以下】
 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】
 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】
 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員 101 人~】
 100 万円 ~ 7,000 万円
※廃業を伴う場合は、廃業費を最大2,000万円上乗せ
最低賃金枠中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21人~】
 100 万円 ~ 1,500 万円
物価高騰対策・回復再生応援枠中小企業者等 2/3(※3)
中堅企業等 1/2(※4)
【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数6~20 人】
 100 万円 ~ 1,500 万円
【従業員数 21~50 人】
 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員 51 人~】
 100 万円 ~ 3,000 万円
(※1)大規模な賃上げとは「事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45 円、②給与支給総額+6%を達成すること」
(※2)卒業促進枠、大規模賃金引上促進枠は成長枠・グリーン成長枠の上乗せ支援枠となります。
(※3)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員  
数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 3/4
(※4)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は1,200 万円までは 2/3

上表は第10回応募締切回の情報です。補助率や補助上限額は締切回ごとに変更になりますので、必ず最新の公募要領を確認してください。

補助率とは

補助率とは使用した経費のうち、補助金として戻ってくる割合のことを言います。例えば補助率2/3の場合、1,500万円経費を使って1,000万円(1,500万円×2/3)補助金として戻ってくる計算となります。

申請枠の詳細

申請枠の詳細は別途ブログ記事をご参照ください。(順次更新)

成長枠

補助の対象となる経費

事業再構築補助金では、補助対象となる経費が以下のとおり定められています。

建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費

ここでは申請の多い、「建物費」「機械装置・システム構築費」「外注費」「広告宣伝・販売促進費」について簡単に概要を説明します。それ以外の経費については公募要領を参照してください。

費 目内 容
建物費
  • 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
  • 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
  • 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
  • 貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)
機械装置・システム構築費
  • 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費(①)
  • 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費(②)
  • ①又は②と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
外注費本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
広告宣伝・販売促進費本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
引用:事業再構築補助金第9回公募要領より作成

「建物費」・・・補助事業に用いる建物の建設、改装、拠点撤退の際の原状回復費用など
「機械装置・システム構築費」・・・機械購入やシステム開発の費用が対象
「外注費」・・・設計やデザイン、品質検査等を委託する場合の経費が対象
「広告宣伝・販売促進費」・・・補助事業に関する販促物の作成やWEB広告等が対象

注意!

補助金の前提として、「使用目的として申請書に記載した以外の用途には使ってはいけない(目的外使用の禁止)」というルールがあります。補助金で購入した物を目的外の用途に流用することができません。発覚した場合は補助金返還となることもありますので、必ず購入する設備等の使用用途は明確に申請書に記載しましょう。また、購入した設備等を事務局の許可なく譲渡・売却・廃棄することや抵当権を設定することも一定期間できませんのでご注意ください。

建物費は要注意(特に新築)

上記の経費の中で要注意なのが「建物費」です。建物費の対象となるのは減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象です。「構築物」に係る経費は対象になりません。

「構築物」に当たるものの一例として「塀・門扉」「フェンス」「外構工事」「駐車場(平面)」などで、これらは補助対象外となります。建物と区別が付きづらいので、判断が難しいです。わからない場合は顧問の税理士さんなどに確認しましょう。

加えて、抵当・根抵当権の問題もあります。特に補助金で整備した建物に根抵当権を設定することはできません。

根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合は、根抵当権設定契約において、建設した施設等の財産に対する追加担保差入条項が定められていないことについての確認書を交付申請時に提出する必要があります。

建物を新築する際には多くの条件がありますので、条件に適合するかよく確認してから申請を行いましょう。

事前着手申請

基本的に補助金で採択されても交付決定となるまでは事業を始める(=工事や設備の発注・契約を行う)ことはできません。

「それでは事業開始に間に合わない!」という方は事前着手申請を行い、事務局の承認を得られれば、交付決定前に遡って事業を開始することができます。

また令和4年12月2日以降に発注・契約を行った経費であれば、申請前でも遡って補助対象とすることが可能です。

ただし、10次公募からこの制度が利用できるのは「物価高騰対策・回復再生応援枠」「最低賃金枠」のみとなりましたので注意が必要です。また、事前着手の承認は交付決定までに行う必要があります。

注意!

事前着手の承認が得られたからと言って、採択になるとは限りません。採択確率も上がりません。また、採択されたとしても、使用した経費が補助対象として認められる保証はありません。このあたりのリスクを認識したうえで、事業を進めましょう。

申請方法

申請方法は電子申請のみとなります。申請を行うためには「GビズIDプライム」が必要となりますので、取得されていない方はまずGビズIDプライムを取得しましょう。

GビズIDは社会保険の申請や許認可の申請にも使用され、用途が年々拡大していますので、すぐに補助金の申請を考えていない方も取得しておいて損はないでしょう。

なお、取得まで3週間程かかるそうです(実際はもう少し早いですが)。締切直前まで申請を忘れていて、結局申請できなかったという話もよく聞きます。補助金を申請すると決めたらすぐに申し込みましょう。

事業再構築補助金の今後の見通し

事業再構築補助金はいつまで続く?

2023年2月に発表された経済産業省の「事業再構築補助金 令和4年度第二次補正予算の概要(1.3版)」によると、事業再構築補助金は2023年度末(2024年3月)までは続くと明記されており、同年度中に3回ほど公募を行うようです。

その後はわかりませんが、コロナが終息してきていることから、2023年度末で一旦終了となる可能性が高いと思われます。

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