ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が革新的なサービスや試作品を開発したり、生産プロセスを改善したりするための設備投資等を支援する補助金です。

このページでは、ものづくり補助金の概要と内容について、わかりやすく解説していきます。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。名称から製造業向けの補助金のように感じますが、実際は商業・サービス業の方も申請が可能です。

ものづくり補助金の公募要領(第14回向け)には以下のように記載されています。

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。

引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(14次締切分)

革新的サービスの開発や試作品の開発、生産プロセスの改善のための設備投資について補助が受けられる補助金です。

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申請対象者は?

補助金に申請可能な対象者は以下に記載する申請の対象者は中小企業者および組合等です。自社が中小企業かどうかは基本的には「資本金の額」と「従業員数」で判断されます。公募要領に記載されている中小企業者の定義、および対象となる組合は以下の表のとおりです。

引用:ものづくり補助金公募要領(14次締切分)
引用:ものづくり補助金公募要領(14次締切分)

資本金か従業員数のどちらかが上表の数値以下であれば対象です。両方とも満たす必要はないので注意してください。

その他、一部の条件を満たした特定非営利活用法人、社会福祉法人も申請が可能です。詳細は公募要領をご確認の上、お問い合わせください。

注意!

公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等、補助金以外の国からの補助を受けて運営する事業は、補助の二重取りとなるため申請できません。他の補助金で交付決定を受けた事業と同じ事業についても申請することはできません。

申請に必要な要件

申請するためには以下の要件をすべて満たす事業計画を作ることが必要です。基本的には事業計画期間中に賃上げもしくは新規雇用を行わないといけないと考えてください。

①事業計画期間(3~5年)において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる

補助金の事業計画期間(3~5年)中に給与支給総額(※1)を年率平均1.5%以上引上げないといけません。3年計画だと基準年度と比較して計画終了時点で4.5%給与支給総額を増加させる必要があります。総額なので、雇用人数が増えれば達成はしやすくなります。

致し方なく雇用人数が減ってしまった場合は、一人当たり賃金の増加率を用いることも認められる可能性もあります。なお、給与支給総額の定義は以下のとおりです。

給与支給総額に含まれるもの
・従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与
・各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等の給与所得とされるもの)

引用:ものづくり補助金 よくあるご質問より

役員報酬は含まれますが、福利厚生費や法定福利費、退職手当など給与所得とされないものは含まれませんのでご注意ください。

②事業計画期間中、事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にする

もう一つの賃上げ要件が「事業場内最低賃金」を地域別最低賃金より30円以上高い水準にすることです。これは補助事業終了後、毎年3月末時点で達成している必要があります。

「事業場内最低賃金」とは、補助事業を行った事業所(機械を設置した事業所)内で一番時給換算で低い給与の方の賃金を、その事業所が所在する地域の最低賃金より30円以上の水準にする必要があります。正社員、アルバイトなど雇用形態関係なく一番低い方の給与をその水準にしないといけません。

例えば、千葉県であれば2023年2月時点での地域別最低賃金は984円(一部業種除く)ですが、この場合は事業場内最低賃金を最低でも1014円以上にしなければなりません。また、今後最低賃金が引き上げられた場合は、その水準+30円以上としなくてはなりません。

既に最低賃金よりも高い水準の給与を支払っている事業所であれば、問題はありませんが、最低賃金に近い給与額の場合は、引上げをしなければなりません。

もし達成できなかったら

もし、賃上げ目標(上記①、②両方)を達成できなかった場合、補助金返還となります。ただし、付加価値額が思うように伸びなかった場合や、天災など事業者の責によらない理由がある場合は、返還が免除される可能性もあります。

③事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる

3つ目の条件が付加価値の増加です。付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」で計算され、この数値を基準年度から年平均3%増加させる計画を策定することが必要です。例えば3年計画であれば、3年後の付加価値額を9%増加させることが必要です。

「賃上げ」がポイント

ものづくり補助金に申請するためには「賃上げ」がキーポイントとなります。現在の給与水準が高い会社、今後の賃上げや雇用増を計画している会社は、申請しやすいでしょう。

補助率・補助上限額一覧

補助率と補助上限額一覧は以下のとおりです。申請する枠や従業員数によって異なります。基本的には従業員数が多くなるほど、補助金上限額が高くなっています。従業員数に役員はカウントされませんのでご注意ください。

申請類型補助率補助上限額
通常枠1/2
(小規模事業者・再生事業者
は2/3)
【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 750 万円
【従業員数 6~20 人】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】
 100 万円 ~ 1,250 万円
回復型賃上げ・雇用拡大枠2/3【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 750 万円
【従業員数 6~20 人】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】
 100 万円 ~ 1,250 万円
デジタル枠2/3【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 750 万円
【従業員数 6~20 人】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】
 100 万円 ~ 1,250 万円
グリーン枠2/3◆エントリー類型
【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 750 万円
【従業員数 6人~20人】
 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21人以上】
 100 万円 ~ 1,250 万円

◆スタンダード類型
【従業員数 5 人以下】
 750 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 6人~20人】
 1,000 万円 ~ 1,250 万円
【従業員数 21人以上】
 1,250 万円 ~ 2,000 万円

◆アドバンス類型
【従業員数 5 人以下】
 1,000 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 6人~20人】
 1,500 万円 ~ 3,000 万円
【従業員数 21人以上】
 2,000 万円 ~ 4,000 万円
グローバル市場開拓枠1/2
(小規模事業者は2/3)
100 万円 ~ 3,000 万円

上表は14次締切回の情報です。補助率や補助上限額は締切回ごとに変更になりますので、必ず最新の公募要領を確認してください。

補助率とは

補助率とは使用した経費のうち、補助金として戻ってくる割合のことを言います。例えば補助率2/3の場合、1,500万円経費を使って1,000万円(1,500万円×2/3)補助金として戻ってくる計算となります。

なお、申請要件以上の大幅な賃上げを行う場合は、補助上限額が引き上げられます。
詳しくは公募要領をご確認の上、お問い合わせください。

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補助の対象となる経費

ものづくり補助金では、補助対象となる経費が以下のとおり定められています。なお、ものづくり補助金では単価50万円(税抜)以上の機械装置やシステムの導入が必須となっています。外注費や専門家経費のみでの申請はできません。また、車や建物を購入することもできません。

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費(グローバル市場開拓枠のみ)、通訳・翻訳費(グローバル市場開拓枠のみ)、広告宣伝・販売促進費(グローバル市場開拓枠のみ)

対象となる機械装置・システムの内容は以下のとおりです。

① 専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に要する経費

② 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費

③ ①若しくは②と一体で行う、改良・修繕又は据付けに要する経費

業務システムなどを外部に委託して開発する場合も、「機械装置・システム構築費」にあてはまります。

その他の経費につきましては、公募要領をご参照ください。

申請方法

申請方法は電子申請のみとなります。申請を行うためには「GビズIDプライム」が必要となりますので、取得されていない方はまずGビズIDプライムを取得しましょう。

GビズIDは社会保険の申請や許認可の申請にも使用され、用途が年々拡大していますので、すぐに補助金の申請を考えていない方も取得しておいて損はないでしょう。

なお、取得まで3週間程かかるそうです(実際はもう少し早いですが)。締切直前まで申請を忘れていて、結局申請できなかったという話もよく聞きます。補助金を申請すると決めたらすぐに申し込みましょう。

事業期間

ものづくり補助金の事業実施期間は交付決定後最大10ヶ月間(ただし採択発表日から12ヶ月後の日まで)となっています(グローバル展開型を除く)。

この期間に発注、納品・検収、支払、生産性向上などの効果検証までを終わらせる必要があります。

特に機械の納期などが長いものに関しては、事前にメーカーや商社と相談の上、適切な時期に申請を行った方がよいでしょう(なお、正式発注は交付決定が出るまではできませんので、ご注意ください)。

ものづくり補助金の今後の見通し

ものづくり補助金は現在4月19日締切の14次公募が行われています。2023年には年4回の公募が予定されており、2024年も継続する見通しです。

詳細なスケジュールは発表され次第掲載します。

まとめ

ものづくり補助金は設備投資を行いたい製造業や、設備やシステムを導入して新たなサービスを開始したいと考えているサービス業の方々におすすめの補助金です。

賃上げを行うことが必要なので、今後従業員数を増やしたり、賃上げを行う計画を有している場合は申請を検討してはいかがでしょうか?

さらに具体的な情報や活用例を知りたい方、申請サポートをお申込みになりたい方は、以下のボタンからお問い合わせください。

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